一緒に過ごした高校時代、宝物だった二人の時間
2028年春、満開の桜を見上げながら雪平明日香は高校生の頃を思い出しています。
2011年、高校生の明日香は吹奏楽部に所属しており、高校野球のスタンドで応援演奏をしていました。選手の水野遥斗がホームランを飛ばし県大会準決勝で勝利。明日香は遥斗に想いを寄せています。遥斗と明日香はお好み焼き屋で仲のいい友達たちと集まって勝利を祝ったり、一緒に登校したりして高校時代を過ごしていました。
2023年、明日香は音楽教室の受付事務として働いています。ある日明日香は老人ホームで働く高校時代から友達、莉子と飲みに行きます。仕事の他に理学療法士の勉強をしている莉子に比べ、特に代わり映えのしない毎日を過ごす自分に「これでいいのか」と疑問に思っている明日香。通っていた高校が廃校になること、そのため同窓会が開かれることを知ります。莉子と一緒に同窓会に行くことにしますが、遥斗は来ない予定だと聞かされ、内心残念に感じます。
感想
全体的に丁寧な描写で、高校時代の仲良しグループの日々、そこでの明日香の遥斗への気持ちが描かれます。明日香は明るい遥斗に勇気をもらっており、彼のことを太陽みたいだったと言います。冒頭に出てきた2028年という未来の明日香も、何度でもこの恋を思い出すと桜を見上げて考えています。桜がキーアイテムみたいですね。
懐かしい高校の校舎、同窓会での再会
3月25日、同窓会に出るため地元の茨城県竜ケ崎市の高校に行きます。元同級生たちと近況を喋っているうちに明日香はジュースを服にかけられてしまいます。水道でシミを落としながら、高校時代に遥斗を想っていた時間のことを懐かしく思い出します。するとそこへ来ないはずだった遥斗が現れます。遥斗は実家のお好み焼き屋のために食材や農業の勉強をしたいと北海道の大学へ進学していました。2次会に明日香と遥斗、莉子、トモヤの仲良しだったグループ4人で遥斗の実家のお好み焼き屋に行くことになります。そこへいないグループの1人、和樹のことをみんなで話します。和樹にはもうずっと会えていないことを話し、さらに明日香は大阪の飲食関係の会社で働いていた遥斗が来月から東京勤務になることを知ります。新しく出店する食堂の責任者になるといいます。さらに、遥斗が将来は実家のお好み焼き屋を継ぐ気でいることを聞きます。一緒にガチャポンをして楽しく過ごす二人。連絡先にLINEも交換し、また東京で集まろうと約束して明日香は嬉しく感じます。
次の日、東京の家で明日香は高校の卒業式の日のことを思い出します。卒業式の日に遥斗にプレゼントを渡そうとしたものの、遥斗が他の女の子にプレゼントを渡され、付き合うことになった瞬間を目撃してしまっていました。渡せなかったプレゼントを大切にとっている明日香。送られてきた昨日の同窓会の写真を何度も眺めます。
音楽教室の体験入学に来た親子の、「一歩踏み出す勇気が大事」という言葉を聞き、勇気づけられた明日香はまた集まろうというLlINEを遥斗に送ります。既読になったもののなかなか返事が来ずにがっかりする明日香。一方遥斗は会社で期待をされ忙しく働いています。
仕事終わりに音楽教室の生徒の忘れ物を届け、外に出る明日香。その様子を桜の影から誰かがじっと見守っています。
遥斗はトモヤと飲みに行き、明日香からLINEが来たことを話します。トモヤから今までの彼女はみんな少し明日香に似ている、と言われるものの、はぐらかす遥斗。
感想
高校の校舎で明日香が思い出す思い出のバッグに主題歌である366日が流れます。思い出の日々や一場面、一場面の描写がさりげなく、丁寧で引き込まれます。東京で仕事をしながらLlINEを待つ明日香の様子も、ドラマチックになりすぎない落ち着いた雰囲気の描写です。
偶然の再会と夜桜の下での告白
莉子と約束し、同級生の鮫島のやっている芝居を見に来た明日香。莉子が直前で来られなくなり、一人で会場に入ると芝居を見に来た遥斗がやって来ます。二人で芝居を見て、感想を言い、遥斗の知っている店に食事に行くことに。店や料理、食材のことを楽しそうに話す遥斗。目標のある遥斗や友達が羨ましいという明日香に、自分には期待した方がいいと言います。何事にも期待しないようにする癖がある明日香は、昔から遥斗に言われると励まされ、何でもできるという気になります。遥斗が準備しているオープン前の店に行き、その店にかける夢や不安、覚悟を聞いてますます遥斗を眩しく感じます。二人で高校時代の思い出を楽しく話しながら夜道を歩いているとトモヤから遥斗へ電話が。鮫島から二人がいい感じだったと聞いた、二人は高校の時から付き合うのは時間の問題だったと言われると、明日香はあり得ないと強く否定。その様子を見て、高校時代の明日香も同じように二人が付き合うことを友達に否定していたと遥斗は思い出します。しかしその直後に急に、明日香は「今あり得ないと言ったのは違う、東京の大学へ行ったのは遥斗が東京へ行くと思っていたから」と言います。そして卒業式の日に想いを伝えようとしていたこと、今も遥斗が気になって仕方がないと言ってしまいます。遥斗は卒業式の日は女の子から別の友達へのプレゼントを預かっただけだといい、付き合っていなかったこと、自分も明日香に再会できてとても嬉しかったと言います。高校の頃から友達に二人の仲を聞かれると明日香が強く否定したため怖くてずっと想いを言えずにいたこと、明日香に「いつでも揺さぶられている」と言い、二人でこれからはじめようと告白します。先日桜の影から明日香を見守っていたのも遥斗であったことが判明。付き合うことになり、夜桜の下で今までのことをたくさん話し合う二人。朝になってしまい、朝焼けの中歩いていると、高校の時一緒に見に行きたいと話していたスカイツリーが見えます。スカイツリーを見ながらキスをし、明日一緒に登りに行こうと約束します。これからはずっと一緒にいようと話し、幸せな二人。
感想
中々素敵な告白の場面でした。夜桜がいい感じです。周りからも当然付き合うと思われるような仲だったものの、ずっとお互いにすれ違っていたこと、小さな誤解が解けていってようやく想いが通じ合う様子がじっくりと描かれています。朝焼けのスカイツリーもロマンチックで綺麗です。
初デート当日、遥斗は・・・
莉子たち友人に付き合ったことを報告し、初デートに向かう明日香と遥斗。しかし待ち合わせ場所の近くで子供を助けた遥斗は川へ落ちてしまいます。電話が来て、明日香は慌てて病院へ向かいます。
感想
全体的にラストの展開以外は「現実的で丁寧な恋愛ドラマ」という雰囲気でした。明日香と遥斗の設定や性格なども落ち着いていて、非現実的な浮ついた雰囲気は全然なく、好感が持てます。高校時代に良い感じだった二人が同窓会で再会というよくあるストーリーですが、描写が丁寧なので見ていて恥ずかしくなるような、ベタな感じもありません。夜桜など映像が綺麗で、そこも割と見ていて楽しいです。しっとり幸せになった後にラストの展開。ストーリー全体がどういう方向に向かうのかはまだ分かりませんが、見守っていきたいですね!
コメント